高校を卒業してから1年目の春。
ぼくは一浪の末合格した大学へ通うためにこの街へやってきた。
一人暮らしをするつもりだったのだが、この町に住む叔父夫婦の好意で同居させてもらうことになったんだ。
「ずいぶん、昔と変わってるんだな……」
まぶしい日差しに目を細めながら4年ぶりに来た町並みの変化に戸惑っていると、少女がこちらへ歩いてきた。
ぼくは少女を眼で追いながらバス停に腰を下ろして地図を覗く。
(わぁ……キレイな女の子だなあ……)
年下の女の子にドキドキする自分に戸惑いながら、ぼくは家の所在を確かめるために再び地図に目を落とすと、ふと、地図に影が差した。
「おにーいちゃんっ!」
「え・・・?」
「きみ・・・もしかして?」
彼女はぼくの手を取ってまっすぐに見つめてくる。
「みさおね、おにいちゃんが来てくれて、とってもとってもうれしい!」
昔とちっとも変わらずに無邪気にじゃれつくみさおちゃんは、
目のやり場に困るほどとっても女の子らしく成長を遂げていて僕を驚かせた。
「おにいちゃん、遠くから来て疲れたでしょ?」
「うん、少しね」
「お風呂の用意ができてるからね」
でも、このあとみさおちゃんはもっと驚くことを口にしたんだ。
「あのね、おにいちゃん、昔みたいにね」
「うん?」
「おにいちゃん、みさおとあらいっこ、しよ?」
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